2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

第26回  京都嵯峨野 男の歩く「女の嵯峨野めぐり」

秋から冬の京都・嵯峨野はもの思うところ。女の一人歩きは様になるが、男の彷徨は他人の目に、うらぶれて見えてか、出会う女性からは警戒信号が発信される。が、もう気にする年ではない。古いスクッラプを開いたら、「女ひとり生きる」グループの嵯峨野マッ…

第12回   薩摩ブシか土佐ブシか、本枯れ節讃歌   2008/02/28 閲覧(658+641)

篤姫ブームの南国への旅 その1 + 京都からは多彩な食の廻廊が延びている。このたびは食材が集まる錦から産地への旅。薩摩ブシか土佐ブシか、錦で仕込んだ話が南国への旅のきっかけになった。ブシは武士でなく枯れ節ことかつお節である。母や妻をさしておか…

第11回  幾年ふるさと来て見れば   2008/02/12  閲覧(372)+426

霧深き熊本・人吉の旅 熊本は父の出身地である。私の代までは、熊本とのつながりを切りたくない。仰ぎ見る阿蘇の雄大な眺望は、心に刻まれる原風景のひとつ。熊本は阿蘇をどこから見るかで、旅の道も印象も異なる。今回は空路、熊本入りした。松山を離れた夏…

第10回  松山の旅 ( 漱石と子規)  2008/01/28  閲覧(618+387)

小説には、さまざまな別れの名場面が登場する。男と女はいうにおよばず、親子、兄弟いろいろある。旅立ちに別れがつきものだ。夏目漱石の坊ちゃんが四国・松山に出発する東京駅頭の場面は、なんど読み返しても、印象深い5行である。生れながらの無鉄砲が自…

第9回   「京野菜 すぐき」    2008/01/15  閲覧(411+416)

ブランドでないブランドの味 北山に薄く墨絵の筆をさっと引いたような雲がかかると、しぐれの季節である。加茂川にユリカモメが舞いはじめ、北山橋のたもとで大槻史郎さん(故人)がパンクズをやりだすのも、決まってこの頃だった。ユリカモメのおっちゃんと…

第8回 侘助という名の椿に惹かれて歩いた京のまち    2008/01/07  閲覧(456+518)

== 古都に咲くもうひとつの雅 == 花の季節まではまだ早い。しかし、底冷えの町に凛として咲く花がある。 椿。苔の上に花びらを散らし、雪の中に赤い花の椿のイメージがふくらむ。本を整理していたら、目にとまったのがきっかけになり、椿を求めて京を歩くこ…

第7回  「願いを込めておけら参り」    2007/12/21  閲覧(559+283)

師走の半ばを過ぎると、京は正月モードにはいる。顔見世でにぎわう南座の招きが年の瀬を告げている。京名物のニシンソバを食べにはいると、ここは京の年寄りたちの社交場だ。一人で食べるおばあさんがいれば、グループ連れも目につく。「もう暮れかいな。せ…

第6回  京都から長州の旅 その2   2007/12/18  閲覧(339+305)

萩の城下で門に魅せられた。旧毛利家別邸の門。門にかかる「萩青年の家」が立ち止まらせ、中に招く。旧藩主の門を現代の若者たちが集う入り口に据えた活用は、吉田松陰の実学の教え、長州の教育への志を受け継ぐ。最後の藩主13代毛利敬親と志士たちの姿が…

第5回 京都から長州への旅 〜1〜 2007/11/27 閲覧(732+904)

維新の源流、吉田松陰は、弟子たちに説いた。「地を離れて、人なく、人を離れて事なし。故に人事を論ぜんと欲せば、まず地理を見よ」。旅の勧めである。京都の維新前夜めぐりをしているうち、松陰の言葉に出会った。維新後の藩閥政治は距離をおいて見ている…

第4回 京都きたのやまの里 〜2〜  2007/10/20  閲覧(1014+660)

別所から北へ、川を下り、京都市の山の家を過ぎて、大堰川に出会うと、大布施。京都市花脊出張所、駐在所、消防分署の並ぶ山里の官庁街?になる。細長い集落の中間地点であるとともに、花脊峠開通以前の水運合流点にあたり、ここから筏を組み、木材,木炭を運…

第3回 京都きたのやまの里    2007/10/09  閲覧(347+503)

鞍馬を過ぎると、京都交通の路線バスは、どこでも随時停車のメロデイバスに変わる。バス停がなくても、手をあげれば、バスは停まる。杉木立の中を流れるのどかなメロデイは、バス接近の合図の役を果たしている。歩きたい時に歩き、疲れたらバスに乗る。のど…

第2回  京のまち歩き 〜その2 冬の旅〜 2007/09/19  閲覧(526) 閲覧(526+333)

京の冬は確かに冷える。冷塊があやしげに空から押し寄せてくる。コートなしで外へ出ると、しばらくは寒さを感じないが、やがて肩から冷たくなり、気がついたときは、もう遅い。冬はコタツで動かないのが、京都人のようで、だから、京都人の屁は臭いことで定…

第1回  京のまち歩き 〜その1  夏の旅〜    2007/09/19  閲覧(393+229)

京都の夏は蒸し暑いで広く知られている。しかし、湿度が高いわけではなく、高温と風のない盆地特有の風土が「蒸す」と、受けとめられているだけだ。 この暑い京の夏は、春、秋のシーズンに比べて入洛客は少なく、汗をかくことをいとわないなら、散策に適して…

第24回   彦根 井伊直弼と青春の城下町   閲覧(146+185)   2008/10/14

全国にお城と若者が似合う城下町は数多い。中でも近江の彦根を青春の城下町の代表にあげたい。古い映画では吉永小百合主演の「青い山脈」のロケ地が彦根の町と城だった。原作は信州が舞台であったが、詰襟、セーラ服の高校生が行き交う堀端と見上げる天守閣…

第23回 北海往還 こんぶの道その2 閲覧(298+411)   2008/08/28

+ 稚内を朝七時三十七分にでたJR宗谷本線の特急宗谷2号は、旭川に十一時、札幌には十二時十五分に着く。稚内の駅をでた宗谷2号は、素晴らしい眺めを乗客にサ−ビスする。進行方向の右は海。海に浮かぶ利尻富士がここからも、見送っている。荘厳という表…

第22回 北の海が育むトップブランド 北海往還 こんぶの道その1  閲覧(174+299) 2008/08/11

数多い京の老舗で、室町期から続く店は数少ない。一三九二年に昆布の老舗が生まれた。京都市中京区釜座通丸太町下ル、「松前屋」。後亀山天皇から下賜の屋号は、御所の昆布を扱い、 御用達(ごようたし)の歴史そのものだ。 現当主小嶋文右衛門さんが「店を構…

第21回 「ヒロシマの夏を歩く」  閲覧(579+231)    2008/07/16

広島の夏の旅はやはり「ヒロシマ」から歩く。20代の頃、8月6日の朝、市内を歩いたのがヒロシマとの出会いになった。中心部の道で、しゃがみこみ、嗚咽しながら家族の遺影に語り続ける年輩の女性の後ろ姿を忘れることはできない。核廃絶をめぐる運動の分…

第20回  京の旅 「仙洞御所」で風雅の庭に自由を発見  閲覧(536+238)   2008/06/25

粟津征二郎 E-mail : awasei-a@topaz.plala.or.jp 京都の庭で穴場を教えてほしい。こんな注文を良く聞く。「社寺の庭は回ったから、市内の中心で、しかも静かなところ」。難問であるが、即答できる庭が仙洞(せんとう)御所。京都御苑内には明治までの天皇の…

第19回   「茶々」ら戦国3姉妹のふるさと小谷城跡をゆく  閲覧(239+390) 2008/06/23

琵琶湖を取り巻く近江は湖北、湖西、湖東、湖南の4地域に分かれ、気候風土、歴史、民俗など大きな違いがある。湖北は天下分け目の関ケ原に隣接する東と西の境である。食べ物の味、形にしても江戸風と関西風が湖北を境に分かれ、正月の雑煮を例にとると、角…

第18回  遠ざかる父の足跡 街道は「きょうとい道」  閲覧(641+523) 2008/05/13

〜鯖街道 その2〜 + 若狭で「きょうといことやなあ」の会話を聞く。「京都は遠い」が縮められて「きょうとい」になった。しかし、意味は遠いでなく、怖い意味で使う。サバの運搬は、道中に危険が待っていた。追い剥(は)ぎから野犬、さらに京都へ着くと、…

第17回  若狭の魚が塩になじんだ京まで18里   閲覧(732+463) 2008/04/18

鯖街道をゆく その1 + 京の錦市場では若狭の魚を地ものという。しかし、錦で地ものがめったに並ばない。特に鯖の魚獲減は著しい。鯖寿司用の700グラムの大きさが手にはいらない。錦の魚屋の主人は「お客さんに若狭でっせ、というと、目の色が変わる。若…

第16回   散り急ぐな やすらいの花よ   閲覧(359+403) 2008/04/08

〜桜吹雪の京を行く〜 + 花冷えと雨がやはり、やってきた。突風を道連れにしている。ためらいつつ、桜が散り始めている。今年の京都の開花は3月27日。 4月になって市内の桜は見ごろから満開になった。 + 円山に行く前に疏水インクラインへ足を向けた。…

第15回  はるばると曇りなき庭 御所のしだれ桜は早や満開  閲覧(328+453)  2008/04/01

花が誘う。見ごろの桜を探しに、出かけてみたものの、目当ての桜はまだつぼみだった。同志社沿いの今出川通を河原町通へ歩きだして、思わず「さくら」と、呼んでしまった。 冷泉家の塀越しに、ソメイヨシノが満開に近い。今出川通に、何本かの桜が植えてある…

第14回 京都センチメンタルジャニー 2008/03/22 閲覧(462+282)

〜坂と丘のうえの下宿町〜 卒業、入学の春を迎えた。学生の町、京都は引越しのトラックがフル回転している。相変わりませずの京都で様変わりの代表といえば、学生生活だ。かつては下宿暮らしが当たり前だったが、いまは、ワンルームのバス、トイレ付きを学生…

第13回 篤姫ブームの南国への旅 その2 閲覧(461+557) 2008/03/10

キハ47で行く枕崎の本枯れ節讃歌 + 指宿午後一時十一分発の指宿枕崎線のキハ47形式ワンマン気動車は、海沿いを走ったか思えば、丘をのぼり、ススキの原をかき分けて進む。大きくカーブすると、前に開聞岳がそびえている。目まぐるしく変わる風景は、眠…

stay-active CHANNEL 03  第25回  芭蕉と秋の旅  

芭蕉座像図 江東区 芭蕉記念館蔵 + 秋の気配が濃くなった。あっという間に日が落ちて、暗くなる夕暮れは感傷を誘う。俳人松尾芭蕉が28年間の漂泊の旅の終焉の地、大阪で詠んだ句は + 秋深き隣はなにをする人ぞ +である。元禄7年(1694)正月、かね…