はるか昔のことです。待ち合わせた店でオレンジジュースを飲んでそのあとしばらくして物陰でキスをしたとき「柑橘系の味がする」という至極当然の結果となり、苦笑いした相手から抗議のデコピンを喰らったことがあります。特段デコピンが痛かったわけではないものの以降待ち合わせのときにはオレンジジュースを頼まなくなり、いつもと違うパンツを履くようななにかしらありそうなときはカバンの中にはそれまで見向きもしなかったいわゆるスッキリ系のアメを入れるようになりました。かつて機械的に覚えた「あひみてののちの心にくらぶれば昔はものを思はざりけり」っていう百人一首の意味を荒ましき東男はカバンに入れたアメを眺めながら正確さはともかくとして大まかな意味でなんとなく納得することになります。
でもって花粉症デビューしたあと数年前からはモンデリーズジャパンというところから出ているクロレッツすっきりミントキャンディーというのを通勤時を含めてカバンの中にいれていました。特に花粉症の時期はミントのおかげで口腔および鼻腔内が爽快になるのでありがたく、その残数が少なくなるとうっすらと不安になってくるという程度のほぼ中毒患者でした。残念ながらいまは見かけません。代わりにクロレッツのミントタブが出まわっていてそれをカバンの中に入れ、口の中にも放り込んでいます。最初は「なんか違う…」意識があったのですが、いまはもう慣れちまいました。その経験から味覚で良いと思うものはもしかしたら何割かは慣れから来るものではないかと考えていますがって、話がずれた。

ただしこいつが残念なのは缶入りで、雑に扱うと・取り出そうとすると・缶の中の残数が少ないと特にちょっとの揺れだけで、小さな音なんすが缶の中でカウベルのようなカランとかコロンと転がる音がします。ただ幸いなことに職業は忍者じゃないのでクロレッツの音に気付かれて「くせもの!」と追われたこともありません。というかクロレッツに頼らなくても口臭がないので吐息はくせえものでもありません。
はてな今週のお題が「カバンの中身」です。おのれに厳しくありたいと思いつつ、カバンの中にはムチではなくてアメばかりいつも入れてます。